高田崇史Official Web Site -club TAKATAKAT

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ESSAY

『源平の怨霊 小余綾俊輔の最終講義』

 

1月14日に、講談社文庫より、

『源平の怨霊――小余綾俊輔の最終講義』

が上梓されました。

 

 

こちらは2019年にハードカバーで出版されていますので、

ご存知の方も多いでしょうから手短かに。

 

 

この作品の大きなテーマは、

「何故、池禅尼が自分の命を賭してまで、

幼い頼朝の命乞いをしたのか?」

「怨霊になっているはずの義経が、

何故、きちんと祀られていないのか」

ということです。

 

 

この「源平合戦」は、

実にさまざまな謎で埋め尽くされています。

そもそもの根元的な話、当時は酷い泥湿地帯だった鎌倉に、

何故、頼朝が居を構え、やがて幕府を開いたのか?

 

 

また、どう考えても地理的・物理的・時間的に不可能だった、

一の谷・鵯越の坂落としが、

何故、義経によってあたかも成功したかのように

言い伝えられてきているのか?

 

 

更に、壇ノ浦で二位尼・時子は、

何故、安徳天皇や「三種の神器」と共に入水したのか。

本来は――全く難しいことでも何でもなく――

天皇の命も神器も無事だったはず。

しかし、彼女にそれができなかった理由は?

 

 

その他にも、数多くの謎が存在しているのですが、

これらの謎は、たった1つの理由によって、全て氷解します。

そして、いわゆる「源平合戦」は、

実は「無かった」のだという事実も、浮かび上がってくるのです。

 

 

巻末の大矢博子さんの解説も、

実に、正鵠を射ていて素晴らしいです。

ぼくも「まさにその通りだ」と感動してしまいました(笑)

この解説だけでも(?)一読の価値はありますので、ぜひ。

 

例によって皆さまも主人公たちと一緒に、

鎌倉の謎にチャレンジしていただければ、幸いです。